【令和4年版】必ず押さえておきたい手術料の算定

手術

手術とは身体の悪い部分などをメスを使って切り取ったり、傷口を縫合したりすることです。

ケガや手術で大量の出血などがあった場合は輸血もしますが、これも手術の項目に入ります。

手術料は入院レセプトでは頻発してでます。

まずは手術料の算定のしかたについてみていきましょう。

手術料の構成

手術料は次のように構成されています。

手術料 = ①手術料(年齢、時間外等の加算) + ②手術医療機器等加算 + ③薬剤料 + ④特定保険医療材料料

算定自体は難しくないですが、いろいろとルールがありますので確認していきましょう。

通則の加算

手術料にかかる加算で、次の2つがあります。

年齢の加算

6歳未満の乳幼児に手術を行った場合に加算します。

時間外等の加算2

時間外等加算は1と2がありますが、ここでは2を取り上げています。

時間外等の考え方は初診・再診料と同じです。

ただし、手術を開始した時間で判断します。

①手術料

手術料とは技術料のことです。次の点に注意しましょう。

片側だけの点数で記載されている

手術料は基本的に片側だけの点数で記載されています。

ですので、対称器官(左右)に同じ手術を行った場合は、左右別々に算定します。

ただし、両側の記載のあるものについては対称器官(左右)におこなった場合も1回のみの算定です。

A手術 → 片側の記載がないためA手術を両側に行った場合は、左右別々に算定

B手術(両側) → B手術を両側に行っても片側に行っても所定点数を1回算定

所定点数には注の加算を含む

項目によっては、注の加算がありますが、この注の加算も含んだものが所定点数となります。

所定点数 = 各項目の所定点数 + 注の加算

例)創傷処置(筋肉に達する、5cm未満) 真皮縫合 をした場合。

 創傷処置(筋肉に達する、5cm未満)・・・1,400点

 真皮縫合加算(注の加算)・・・460点

 1,400点 + 460点 = 1,860点(所定点数)

通則の加算(年齢の加算や時間外等)は、この注の加算を含めた所定点数に対しておこないます。

②手術医療機器等加算

手術によっては、特別な医療機器を使用することがあります。

たとえば、創外固定器や自動縫合器、自動吻合器などです。

これらを使用できる手術は決められていますので、加算できるかどうかは点数表で確認します。

③薬剤料

手術で使用した薬剤は全て合算し、次の計算式を用いて点数にかえます。

薬価:15円以下 → 0点

・薬価:15円超え → 薬価 ÷ 10(端数は五捨五超入)

手術時に使用した外皮用殺菌消毒剤は算定できません。

薬価表の備考欄に殺菌消毒剤と記載されているものになります。

④特定保険医療材料料

特定保険医療材料を使用した場合は次の計算式を用いて点数にかえます。

材料価格 ÷ 10(端数は四捨五入)

手術時に使用する縫合糸や衛生材料などは算定できません。

算定の注意点

手術料の構成については理解できたと思いますが、更に注意しておくことがあります。

同一手術野に同時に2つ以上の手術をした場合の算定

同一手術野とは、皮膚を1カ所切ることによって2つ以上の手術を行える範囲のことです。

カルテには同一皮切併施と書かれていることもあります。

このような場合、次のルールに従って算定していきます。

原則 ・・・ 主たる手術の所定点数を算定

・例外1・・・ それぞれの所定点数を算定

・例外2・・・ 主たる手術の所定点数と従たる手術の所定点数の50/100を算定

つまり、同一手術野に2以上の手術を行った場合は、まず例外の1、2を確認することになります。

例外1、2については次の簡易表で確認しましょう。

これらに該当しなければ、原則で算定します。

年齢の加算と時間外等の加算が重複した場合の算定

年齢の加算と、時間外等の加算が重複した場合は次のような計算をします。

例)5歳の患者に23時に「筋肉内異物摘出術」を実施。

 所定点数 3,440点

 幼児加算 3,440点 × 50/100 = 1,720点

 深夜加算 3,440点 × 80/100 = 2,752点

 3,440点(所定点数) + 1,720点(幼児加算) + 2,752点(深夜加算) = 7,912点

手術当日に算定できないものがある

手術当日は、術前、術後にかかわらず、算定できないものがあります。

処置・・・手術に関わる処置(ギプスは除く

・注射・・・手術に関わる注射の実施料

手術に関連していなければこれらは算定できますので、内容をよくカルテで確認しましょう。

手術時に算定できないものがある

検査の項目で算定できないものがあります。

・診断穿刺、検体採取料・・・手術にあたって検体などを採取した場合はこれらは算定できない

・内視鏡を用いた手術時の内視鏡検査・・・手術にあたって内視鏡検査をした場合は算定できない

まとめ

手術はいろいろなルールがありますが重要な部分をまとめておきます。

・時間外等の加算は手術した時刻で判断する

・手術の項目は、基本的に片側だけの点数になっている

・所定点数には注の加算を含む

・手術時に使用した外皮用殺菌消毒剤は算定できない

・手術時に使用する縫合糸や衛生材料などは算定できない

・同一手術野に2以上の手術を行った場合は、主たる点数のみを算定する

 例外1・・・それぞれの所定点数を合算する

 例外2・・・主たる手術の所定点数と従たる手術の所定点数の50/100を合算する(略号:併施)

以上、手術を算定する場合に絶対に押さえておかなければならないルールでした。

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