薬剤料とは、薬の代金のことです。
保険診療で認められた薬剤は「薬価表」に収載されており、すべて価格(円)で表示されています。
保険請求は点数によって行われますので、投薬に使用された薬剤も点数に換算していく必要があります。
また、薬剤料を算定するときは「薬剤料の計算方法」と「薬剤料の算定単位」が重要になってきます。
薬材料の計算方法
カルテに書かれている薬剤を薬価表から探し点数に換えていきますが、この時その薬剤が15円以下なのか15円を超えているかで計算が異なります。
・15円以下 ・・・ 1点(※投薬、注射以外は0点)
・15円超え ・・・ 薬価/10(小数点以下は五捨五超入)
15円以下の場合は、計算することなく1点となります。
15円を超えている場合は、薬価を10で割り、端数が出たときは小数点以下を五捨五超入します。
五捨五超入
考え方は次のとおりです。
・25.3円 → 25.3円/10=2.53 小数点以下の0.5が、0.03超えているので繰り上げ。 → 3点
・355円 → 355円/10=35.5 小数点以下の0.5が、ちょうど5なので切り捨て。 → 35点
このように、小数点以下が5を超えていれば繰り上げとなります。
次の例でも考えてみましょう。
・A薬 1錠(1錠30円)
30円×1錠=30円
15円を超えているので、30/10=3点
・B薬 1錠(1錠8.6円)
8.6円×1錠=8.6円
15円を超えていないので、0点
・C薬 2錠(1錠8.6円)
8.6円×2錠=17.2
15円を超えているので、17.2/10=1.72
0.5を超えているので繰り上げ → 2点
練習問題①
練習問題にチャレンジしてみましょう。
薬剤料の算定単位
次に大事になるのが算定の「単位」です。
「単位」とは、薬価から薬剤料を求めるときの算定の基準となるもので、内服薬、頓服薬、外用薬でそれぞれ違います。
区分 | 単位 |
内服薬 | 1剤1日分 |
頓服薬 | 1回分 |
外用薬 | 1調剤 |
内服薬は、1剤につき1日分の総量が1単位となります。
頓服薬は、1回に出された総量が1単位となります。
外用薬は、1調剤分の総量が1単位となります。
このように、どの区分の薬剤を投与したかによって算定する単位も違ってくるため、内服薬、頓服薬、外用薬の見分け方は必須です。
それぞれの区分ごとに算定例をみてみましょう。
内服薬の算定
内服薬が投与された場合の例です。
<薬価:ロキソニン錠60mg 1錠 15.9円 / マーズレンS配合顆粒 1g 14.7円>
11/1は受診日で、「Rp」は投薬を行ったという意味です。
いつどれだけの量をどれくらい服用するか決められているので内服薬です。
内服薬の算定単位は、「1剤1日分」でした。
ロキソニン錠とマーズレンS配合顆粒の2種類の薬剤が書かれていますが、この場合、2つ合わせて「1剤」になります。
「1剤」とは、1つの薬袋に入るものをいいます。
「分3×7T」の記載があるように、投与日数の単位で薬袋に入れるため、ここで1剤と判断できます。
次に、「1日分」とは、1日に飲む薬の総量のことです。
ロキソニン3錠と、マーズレンS配合顆粒3gを合わせた量が、1日分の総量になります。
水色の部分が「1剤分」で、青色の部分が「1日分服用量」です。
・1日分服用量の計算
ロキソニン錠60mg 1T 15.9円 × 3T = 47.7円
マーズレンS配合顆粒 1g 14.7円 × 3.0g = 44.1円
・1剤分の計算
47.7円 + 44.1円 = 91.8円
先ほどの薬剤料の計算式をあてはめます。
「91.8円」は、15円を超えているので割る10をします。
91.8 / 10 = 9.18
五捨五超入は切り捨てになります。
9.18 → 9点
よって、「1剤1日分」は「9点」となります。
9点が1単位で、それを7日間(=7単位)なので、
9点 × 7単位 = 63点
この内服薬の薬剤料は、「63点」となります。
摘要欄には、使用した薬剤の品名と、規格、実際に使用した量をそれぞれ記入します。
このとき、必ず薬価表に記載されている正式な品名、規格、単位で記入しましょう。
規格のないものは記入する必要はありません。
つづけて、1剤1日分の「9」と、単位の「7」を、「×」で分けて記入します。
点数欄は、コード21の内服薬の欄に単位と合計点を記入します。
頓服薬の算定
同じ内用薬でも、頓服薬の場合は次のように算定していきます。
<薬価:ポンタールシロップ3.25% 3.25%1ml 6.40円>
「3P」は、「3回分」という意味なので頓服薬になります。
頓服薬の算定単位は、「1回分」でした。
ポンタールシロップ3.25%の5mlが、1回分の服用量になります。
「1回分服用量」で計算します。
ポンタールシロップ3.25% 1ml 6.40円 × 5ml = 32.0円
15円を超えているので割る10をします。
32.0/10 = 3.20
五捨五超入は切り捨てとなるため、1回分は「3点」となります。
1回分が1単位で、3回分(=3単位)なので、
3点 × 3単位 = 9点
この頓服薬の薬剤料は「9点」になります。
摘要欄には、薬価表に記載されている品名、規格、単位で記入します。
品名に3.25%、規格にも3.25%と、同じ意味の場合はレセプトに記入する際はどちらか省略できます。
点数欄は、コード22の頓服薬の欄に単位と合計点数を記入します。
外用薬の算定
最後に外用薬を算定してみましょう。
<アラセナA軟膏3% 1g 304.60円>
薬価表の外用薬に記載されているものは外用薬の算定になります。
外用薬の算定の単位は、「1調剤」でした。
1調剤分とは、「1回の処方で投与した全部の量」ということです。
アラセナA軟膏4gを2本処方しているので、8gが全部の量になります。
アラセナA軟膏3% 1g 304.60円 × 8g = 2436.8円
15円を超えているので、割る10をします。
2436.8円/10 = 243.68
五捨五超入は繰り上げですので、1調剤分は「244点」となります。
1調剤分すべての量が1単位です。
244点 × 1単位(外用薬の場合は必ず1単位になります) = 244点
この外用薬の薬剤料は、「244点」となります。
摘要欄は、薬価表に記載されている品名、規格、単位で記入します。
薬価表の単位は「g」ですので、「4g2本」と書いてしまわないよう注意しましょう。
点数欄は、コード23の外用薬の欄に単位と合計点数を記入します。
ビタミン剤の投与
ビタミン剤とは、薬価表に「ビタミン」の記載があるものです。
これらの薬剤料は原則、算定することはできません。
ただし、次のような場合は算定できます。
・ビタミン欠乏症、末梢神経炎、中枢神経障害、神経痛、関節痛、筋肉痛など、医師がビタミン剤の投与が有効であると認めた場合。
・食事からのビタミン摂取が困難な患者。
・流動食のうち、一分粥、三分粥、五分粥を食している場合。
このような理由からビタミン剤を算定した場合は、レセプトにその旨を記載する必要があります。
ただし、病名からビタミン剤の投与が必要と判断できる場合は記載する必要はありません。
また、ビタミン剤は、内服薬、注射薬のみとされており、外用薬にビタミン剤は認められていません。
まとめ
・薬剤料は、薬価(円)を点数に変える
・薬価が15円以下 → 1点
・薬価が15円超え → 薬価/10(小数点以下は五捨五超入)
・算定の単位は、内服薬は「1剤1日分」、頓服薬は「1回分」、外用薬は「1調剤」
・ビタミン剤は例外を除いて算定不可。
薬剤料を算定するときは、内服薬、頓服薬、外用薬の見分け方が大事になります。
それぞれで算定単位が変わってきますので注意しましょう。
次は、調剤料、処方料などについて学習していきましょう。
→ 【投薬③】調剤料、処方料、麻薬等加算、調剤技術基本料の算定とレセプト作成
練習問題②
練習問題で確認しましょう。
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