医療保険で適用される医薬品は、すべて厚生労働大臣により定められており、その価格も公定価格として決められています。
これら薬剤の価格のことを薬価といい、多くの薬価をまとめたものを薬価表といいます。
下の表が学習用サンプルとしてまとめたものです。
医師は、投薬や注射などの医療行為で使用した薬剤は全てカルテに記載します。
医療事務では、これらカルテに記載された薬剤を、薬価表から探し出し点数に変えていくという作業を行っていきます。
薬価表の見方
1.区分
薬価表は、「内用薬」、「注射薬」、「外用薬」の3つで構成されています。
内用薬、外用薬は、おもに投薬や処置で使用されます。
注射薬は、在宅医療や、注射、点滴、処置などで使用されます。
カルテに記載されている薬剤は、必ずこれらの区分に分けられます。
詳しい薬剤料の算定方法についてはこちらを確認してください。
2.品名欄
品名欄は、製薬会社が付した薬剤の商品名です。品名の中に薬剤の有効成分などが記載されているものもあります。
また、品名の前にある「後」の文字は、後発医薬品のことでジェネリック医薬品とも呼ばれます。
3.規格・単位欄
規格・単位欄は、薬剤の単位あたりに含まれる有効成分の量を示しています。
例でみてみましょう。
①アイピーディードライシロップ5%は、1g(単位)のうち、5%(規格)の有効成分が含まれている。
②アクトネル錠2.5mgは、1錠(単位)のうち、2.5mg(規格)の有効成分が含まれている。
③アストミンシロップ0.25%は、1ml(単位)のうち、0.25%の有効成分が含まれている。
この有効成分は「力価」ともいわれ「mg」で表すことができます。
換算式は次のとおりです。
●「A%Bg」の規格・単位の薬剤 → (A × B × 10)mg
●「A%Bml」の規格・単位の薬剤 → (A × B × 10)mg
①の力価は、5% × 1g × 10 = 50mg
②の力価は、すでにmg表記になっているため、2.5mg
③の力価は、0.25% × 1ml × 10 = 2.5mg
となります。
カルテには力価で記載される場合もあるため、このような換算も必要になってきます。
たとえば次のような場合です。
・アシノン錠 225mg 分3×7日分
アシノン錠225mgとなっていますが、薬価基準表には150mgと75mgの規格しかありません。
この場合は服用時点に着目します。分3とは「1日3回に分けて」という意味です。
つまり、75mgの錠剤、3錠分を算定すればいいのです。
4.薬価欄
薬価欄には、薬剤の単位あたりの価格(円)が表示されています。
また、薬価の前に表示されている文字の意味は次のようになります。
「麻」・・・麻薬
「向」・・・向精神薬
「覚」・・・覚醒剤
「毒」・・・毒薬
「劇」・・・劇薬
「造」・・・造影剤
これらの表示は、投薬や注射で加算の対象となることがありますので、薬価をみるときには注意しておきましょう。
5.薬効欄
薬効欄には、主な薬剤の効能や効果が記載されています。
ビタミン剤については、投薬や注射では例外を除いて算定できませんので、見落とすことのないようにしましょう。
6.一般名
一般名とは、薬剤に含まれている有効成分の科学名を簡単にしたものです。
世界共通または日本共通の名称となっています。