【R4年版】注射料の算定方法、レセプトの書き方まで詳しく解説!

注射

今回は、注射料の算定方法についてみていきましょう。

注射料は、「注射実施料」、「薬剤料」、「特定保険医療材料料」から構成されています。

それぞれ詳しくみていきましょう。

注射実施料

注射を行うときの技術料になります。コード別に3つに分けられます。

皮内、皮下及び筋肉内注射(コード31)・・・1回につき。外来の患者に行ったときに算定できる。

静脈内注射(コード32)・・・1回につき。外来の患者に行ったときに算定できる。

その他(コード33)・・・皮内、皮下及び筋肉内注射と静脈内注射以外の注射。

すべての注射が対象の加算

いわゆる通則の加算で、すべての注射が対象となります。主なものに次の2つがあります。

麻薬注射加算・・・薬剤に麻薬が含まれているもので、薬価表に「麻」の記載があるもの。

生物学的製剤注射加算・・・生物、またはその産生物から製剤される薬剤。薬価表に「生」の記載があるもの。

これらの薬剤を使用した注射を行ったときは、実施料に加算をします。

6歳未満の患者への加算

患者が6歳未満のときに実施料に加算ができます。

主には、静脈内注射(コード32)、点滴注射(コード33)にあてはまります。

点滴注射の場合は、使用した薬剤の量が100ml未満か以上かで点数が違いますので注意しましょう。

※表中は加算後の点数となっています。

算定の注意点

手術当日に行った注射の実施料は、手術の実施料に含まれ算定することはできません。手術に関連しない注射の場合は算定できます。

ビタミン剤については、病名からビタミン剤の投与が必要と認められる場合や、食事などからのビタミン摂取が困難な場合、5分粥までの食事提供の患者の場合以外は、算定できません。

また、涙のう内薬液注入、鼓室内薬液注入、局所・病巣内薬剤注入、子宮膣部注射、咽頭注射、腱鞘周囲注射、血液注射を行った場合は、コード31の「皮内、皮下及び筋肉内注射」として算定します。

薬剤料

注射に使用した薬剤は薬価表の「注射薬」に記載されています。

投薬と同じように、価格を点数に換えていきます。

15円以下 ・・・ 1点(投薬、注射以外は0点)

15円超え ・・・ 薬価 ÷ 10(小数点以下は五捨五超入)

単位には「管」、「瓶」、「バイアル」、「袋」、「筒」など様々な種類があります。

また、薬価の前の表示されている意味は次のとおりです。

「麻」・・・麻薬

「生」・・・生物学的製剤

「劇」・・・劇薬

「毒」・・・毒薬

「向」・・・向精神薬

「覚」・・・覚醒剤原料

「造」・・・造影剤

「静」・・・静脈内注射で行うもの

Aq」・・・注射時に溶解して使用するもの(粉末剤)

この「Aq」表示の薬剤を使用したときは、次のような注意が必要です。

「Aq」表示の算定のしかた

注射は、液体の薬剤でなければ注射することはできません。

「Aq」表示は粉末の薬剤なので、他の液体の薬剤と混ぜてから使用しなければなりません。

カルテにどのように書かれているかで算定方法が変わります。

①「Aq」表示の注射薬のみ場合 → 「注射用水」と合わせて算定する

②「Aq」表示の注射薬と、他の液体注射薬 → それぞれを合わせて算定する

①の場合で使用する「注射用水」は、薬価表の表示により次のように使いわけます。

・薬価欄の表示が「Aq」 → 「注射用水5ml」を使用

・薬価欄の表示が「静Aq」 → 「注射用水20ml」を使用

例でみてみましょう。

例1)ビクシリン注射用0.25g 250mg 1瓶

「Aq」の表示の注射薬のみです。このままでは注射できませんので「注射用水5ml」と合わせて算定します。

ビクシリン注射用0.25g 250mg 1瓶 151円 + 注射用水5ml 1管 61円 = 212円

212円 ÷ 10 = 21.2 → 21点

例2)ビクシリン注射用0.25g 250mg 1瓶

   生理食塩液100ml 1袋

「Aq」表示の注射薬と生理食塩液を合わせた注射です。

この場合は注射用水を使用しません。

ビクシリン注射用0.25g 250mg 1瓶 151円 + 生理食塩液100ml 1袋 113円 = 264円

264円 ÷ 10 = 26.4 → 26点

特定保険医療材料料

特定保険医療材料料とは、厚生労働大臣によって定められた医療材料のことで、注射をする際これらの材料を使用する場合があります。

主なものは次のとおりです。

価格で表示されているため、使用した場合は次の計算式を用い点数になおします。

・材料価格/10(小数点以下は四捨五入)

注射で特定保険医療材料を使用することは少ないので、ここでは詳しく説明は省きます。

算定例とレセプト記入

それではコード別に算定してみましょう。

皮内、皮下及び筋肉内注射(コード31)

例) 3/16 inj ぺチロルファン注射液 1ml 1A  im

「inj」は「injection(注射)」の意味で、「im」は「皮下注射」の意味です。

ぺチロルファン注射液1m1管を、皮下注射したということになります。

・薬剤料・・・ぺチロルファン注射液1ml1A → 350円 ÷ 10 = 35 → 35点

・実施料・・・20点

・麻薬加算・・・5点

レセプトは次のようになります。

摘要欄には、使用した薬剤の品名、規格、使用本数を記入します。

薬剤料と実施料(加算を含む)の点数(60点)は合わせて記入し、実施回数(×1)も記入します。

点数欄には、1カ月分の合計回数と合計点数を記入します。

静脈内注射(コード32)

例)6歳未満の患者

 3/24 inj ネオフィリン注250mg 2.5%10ml 0.8A  iv

「iv」は「静脈内注射」の意味です。 

・薬剤料・・・ネオフィリン注250mg 2.5%10ml 1A → 92円 ÷ 10 = 9.2(五捨五超入) → 9点

管(アンプル)入りの薬剤は静脈内注射に関わらず、1管分を使用していない場合(0.8A)でも、残液は廃棄するため1管分(1A)で算定します。

・実施料・・・32点 + 45点(6歳未満) = 77点

レセプトは次のようになります。

管(アンプル)入りの薬剤は、1本分の算定でもレセプトに記入する際には、実際の使用量(0.8A)で記入します。

その他の注射(コード33)

例)6歳以上

4/1 DIV ブドウ糖注射液 5%500ml 1袋

「DIV」は「点滴注射」の意味です。

・薬剤料・・・ブドウ糖注射液 5%500ml 1袋 → 174円 ÷ 10 = 17.4(五捨五超入) → 17点

・実施料・・・6歳以上、500ml以上の点数 → 98点

レセプトは次のようになります。

「33その他」では、注射名と薬剤料は別々に記入します。

点数欄の回数は、注射の実施回数ではなく、摘要欄に記入した回数を合計して記入します。

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