皮膚科軟膏処置は、皮膚炎や、湿疹などの疾患に対して薬を塗ったり、ガーゼで被覆した場合に算定できる処置の項目です。
ここでは、算定方法や算定時の注意点、レセプトへの記入のしかたについて解説していきます。
算定方法と注意点
皮膚科軟膏処置は1回につきの算定で、処置する範囲により4段階に区分されています
100㎠以上500㎠未満 | 55 |
500㎠以上3,000㎠未満 | 85 |
3,000㎠以上6,000㎠未満 | 155 |
6,000㎠以上 | 270 |
考え方は、創傷処置や熱傷処置と同じですが、100㎠未満は算定することはできません。
注意点についてみていきましょう。
処置に使用した薬剤は全て合算する
皮膚科軟膏処置で使用した薬剤は、全て合算してから点数にします。
例)A軟膏、Bクリーム → A軟膏とBクリームの薬価を足してから点数にする。
異なる部位に同じ処置を行った場合は範囲を合わせる
異なる部位に対して皮膚科軟膏処置を行った場合は、それぞれの範囲を合わせます。
例)腕(50㎠)と足(70㎠)に皮膚科軟膏処置を行った → 皮膚科軟膏処置(120㎠)で算定
同一部位に2つの処置を行った場合は、いずれかの算定になる
同一部位に2つの処置を行った場合は、いずれか1つのみを算定します。
例)両手に、皮膚科軟膏処置と創傷処置を行った → どちらか1つを算定
※この場合はどちらを算定してもいいですが、基本的には点数の高い方をとります。
時間外等加算2
時間外などの考え方は、初診・再診と同じです。
所定点数が150点以上の場合のみ加算することができます。
時間外加算2 | (略号:外) | 所定点数×1.4 |
休日加算2 | (略号:休) | 所定点数×1.8 |
深夜加算2 | (略号:深) | 所定点数×1.8 |
皮膚科軟膏処置では、3000㎠以上になると150点を超えるので、これらの時間帯に行った場合は加算できます。
例)深夜に皮膚科軟膏処置(3000㎠以上6,000㎠未満)を行った
→ 155点 × 1.8 = 279点
カルテ例
皮膚科軟膏処置をカルテの例でみてみましょう。

7.22は、右手と左手で異なる部位ですが、湿疹に対して同じ処置を行っていますので、範囲は合算します。
7.22 皮膚科軟膏処置(110㎠) → 55点
薬剤は、両手でコンベック軟膏を2g使用しています。
コンベック軟膏5% 1g 17.3円 × 2g = 34.6円 ÷ 10 = 3.46(五捨五超入) → 3点
7.29の「処置do」とは、前回と同じ処置を行ったということですので、皮膚科軟膏処置を両手に80㎠行っています。
100㎠未満の処置料は算定できませんので、薬剤料のみの算定となります。
コンベック軟膏5% 1g 17.3円 × 2g = 34.6円 ÷ 10 = 3.46(五捨五超入) → 3点
レセプトは次のようになります。

皮膚科軟膏処置も、処置名の後に処置を行った部位を記入します。
また、時間外などの加算をした場合は、処置名の後ろに略号を記入します。