創傷処置とは、切り傷や刺し傷、擦り傷、手術後の傷などに対して、消毒したり薬を塗ったり、包帯やガーゼなどで被覆したときに算定できる項目です。
試験や実務においても頻出する項目ともいえます。
ここでは、創傷処置の算定方法や、カルテ例をもとにレセプトへの記入まで解説しています。
簡易表にもまとめてありますのでご活用ください。
創傷処置(1回につき)
創傷処置は、処置する範囲により5段階に区分されています。
100㎠未満 | 52 | 外来のみ 手術後は入院でも14日以内は算定可 外来診療料算定時は算定不可 |
100㎠以上500㎠未満 | 60 | 外来診療料算定時は算定不可 |
500㎠以上3,000㎠未満 | 90 | |
3,000㎠以上6,000㎠未満 | 160 | |
6,000㎠以上 | 275 | 6歳未満は+55 |
範囲とは傷の広さではなく、処置した範囲になり、範囲が広くなるほど点数は高くなります。
また、算定の単位は1回につきです。
たとえば、午前中に1回、午後に1回行った場合、その日は2回算定できます。
算定の注意点
創傷処置を算定するときの注意点についてみていきましょう。
100㎠未満は外来のみ
100㎠未満の処置を算定できるのは、外来の患者さんのみとなります。
100㎠以上の範囲は外来、入院ともに算定することができます。
100㎠未満は、手術後であれば入院中でも14日以内は算定できる
100㎠未満は外来のみでしたが、手術後の入院患者においては、100㎠未満であっても14日以内に限り算定することができます。
500㎠未満は外来診療料算定時は算定不可
外来診療料(200床以上の再診)算定時に500㎠未満の処置を行った場合は算定することはできません。
処置料が外来診療料に含まれることになります。
※ 200床以上でも、初診であれば算定することができます。
処置に使用した薬剤は全て合算する
創傷処置は、傷に薬を塗ったり包帯をまいたりする処置ですので、薬剤を使用することもあります。
使用される薬剤には、消毒薬や軟膏、クリームなどがありますが1回の創傷処置に使用した薬剤は全て合算します。
例)創傷処置 A消毒液、B軟膏 → A消毒液の薬価とB軟膏の薬価を合算。15円を超えていたら÷10(小数点以下は五捨五超入)して点数にする。
異なる部位に同じ処置を行った場合は範囲を合わせる
異なる部位に対して同じ創傷処置を行った場合は、それぞれの範囲を合わせて考えます。
例)上腕(50㎠)と大腿(70㎠)に創傷処置を行った → 創傷処置120㎠として算定
手術当日に、手術に関連して行った処置は算定できない(ギプスは除く)
創傷処置だけではありませんが、手術当日、手術に関連して行う処置は、術前、術後を問わず算定できません。
以下の例のように、手術同日に、創傷処置を行うことがよくあります。
例)前腕の手術で切開した傷に対し創傷処置を行った → 手術に関連するため創傷処置は算定不可
ただし、手術に関連しない処置であれば算定できます。
例)前腕の手術に対する傷に創傷処置を行い、大腿の傷に対して創傷処置を行った。
→ 前腕は手術に関連する創傷処置なので算定不可。大腿の傷は手術に関連しないため算定可。
創傷処置術後(1日につき)
手術後の傷などに対して創傷処置を行った場合、「創傷処置術後」と名称が変わります。
名称は変わりますが、算定方法は創傷処置と同じです。ただし、1日につきの算定になります。
たとえば、午前に1回、午後に1回行っても、その日は1回の算定となります。
また、レセプトに記入する場合、「創傷処置術後」と「創傷処置」とは区別します。
全体にかかる加算
時間外等加算2
所定点数が150点以上の場合のみ加算できます。(所定点数には注の加算を含みます。)
時間外加算2 | (略号:外) | 所定点数×1.4 |
休日加算2 | (略号:休) | 所定点数×1.8 |
深夜加算2 | (略号:深) | 所定点数×1.8 |
創傷処置では、3,000㎠以上になると150点を超えますので、これらの時間帯に処置を行った場合は所定点数に加算します。
例)時間外に創傷処置(3,000㎠以上6,000㎠未満)を行った
→ 160点 × 1.4 = 224点
また、小数点以下が出た場合は四捨五入します。
カルテ例
実際にカルテの創傷処置の例でみてみましょう。
同時に異なる部位への創傷処置
左前腕と右手掌部に創傷処置を行っています。
異なる部位に同じ処置を行った場合は範囲を合算します。
左前腕 64㎠ + 右手掌部 49㎠ = 113㎠ → 創傷処置(100㎠以上500㎠未満)60点
ゲンタシン軟膏1mg 1g 12.2円 × 1.5 × 2(各) = 36.6円 ÷ 10 = 3.66(五捨五超入)→ 4点
レセプトは次のようになります。
創傷処置は、処置名のあとに必ず部位名を記入します。
薬剤料は処置料とは別に記入します。
手術当日の創傷処置
5/22の創傷処理(傷を針で縫う)は手術の項目になります。
すぐ下に「術後処置」とありますが、縫った右上腕の手術創に対して処置を行ったということです。
手術創に対する処置なので創傷処置術後となります。
算定方法は創傷処置と同じですが、手術当日の処置はギプスを除いては算定できません。
創傷処置術後 → 0点
使用した薬剤は処置料とは関係なく算定できます。
2種類ありますが、1回の処置に使用した薬剤は合算して点数にします。
イソジン液10% 10ml 25.4円 × 2 = 50.8円
クロロマイセチン軟膏2% 1g 11.4円 × 4 = 45.6円
50.8円 + 45.6円 = 96.4円 ÷ 10 = 9.64 → 10点
5/29の「GW」とは「ガーゼ交換」という意味で処置を行ったということです。
「ガーゼ交換をし、前回と同じ処置を行った」という意味になります。
この日は手術当日ではありませんので、創傷処置術後を算定します。
また、「do」には薬剤料も含んでいますので薬剤料も忘れず算定しましょう。
創傷処置術後(100㎠未満) → 52点
薬剤料 → 10点
レセプトは次のようになります。
創傷処置は「創傷処置術後」と記入します。
薬剤料は同じものが2回ありましたのでまとめて記入します。
まとめ
創傷処置は、切り傷や切創、手術創などに対し、薬をぬったりガーゼ交換をした場合に算定します。
試験や実務ではよく出る項目ですので、しっかりと上記のポイントをおさえておきましょう!
また、カルテによっては、「創傷処置」と記載されず、「GW(ガーゼ交換)」や「包交(包帯交換)」と書かれていることもあります。
GWや包交は、処置を行ったということですから、その処置を行った部位がどのような傷病かをカルテから確認する必要があります。
傷など → 創傷処置
火傷など → 熱傷処置
湿疹など → 皮膚科軟膏処置
今回は、創傷処置をとりあげましたが、熱傷処置や皮膚科軟膏処置もよく出る項目ですので併せておさえておきましょう!