【R4年版】必ず押さえておきたい!処置料の算定ルール

処置

処置とは、身体の外部から手当などを行うことをいいます。

ここでは処置料の算定するときのルールや注意点について解説していきます。

まずは、処置の構成からみておきましょう。

処置の構成

処置 = 薬剤料 特定保険材料料処置医療機器等加算処置料(時間外等加算、年齢加算)

処置を行うときには、処置自体の処置料(技術料)のほかに、薬剤や材料、医療機器を使用したりすることがあります。

これらすべてを合わせたものが処置の点数となります。

診療時間外などの処置や、6歳未満の患者さんに対しての処置には加算をすることもできます。

それぞれ詳しくみていきましょう。

薬剤料

処置で使用した薬剤は、次の計算式を用いて点数にかえます。

薬価:15円以下 → 0点

薬価:15円超え → 薬価 ÷ 10(端数は五捨五超入)

例)亜鉛華(10%)単軟膏シオエ 5g

→ 21.6円 × 0.5g = 10.8円(15円以下) → 0点

例)アラセナ-A軟膏3% 1.2g

→ 304.6円 × 1.2g = 365.52円 ÷ 10 = 36.552(五捨五超入) → 37点

特定保健医療材料料

特定保険医療材料とは、厚生労働大臣によって定められた保険で使用することのできる医療材料のことです。

処置でこれらを使用した場合は、次の計算式を用いて点数にかえます。

材料価格 ÷ 10(端数は四捨五入)

例)膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル2管一般(Ⅰ) 1本(@233円)

→ 233円 × 1本 = 233円 ÷ 10 = 23.3(四捨五入) → 23点

処置医療機器等加算

処置を行うときに医療機器を使用した場合にできる加算で、次の2つがあります。

腰部、胸部又は頸部固定帯加算

腰や胸、首を固定するコルセットを給付した場合に算定できる項目です。

J119-2「腰部又は胸部固定帯固定」を算定するときに併せて算定します。

例)腰部又は胸部固定帯固定(35点) + 腰部、胸部又は頸部固定帯加算(170点)

酸素加算

酸素を必要とする処置(J024~J028、J045)を行った場合に算定できる項目です。

酸素の価格は次のように決められています。

定置式液化酸素貯槽(略号:液化酸素CE)0.19円/L
可搬式液化酸素容器(略号:液化酸素LGC)0.32円/L
大型ボンベ(略号:酸素ボンベ大型)0.42円/L
小型ボンベ(略号:酸素ボンベ小型)2.36円/L

点数への換算は次の計算式を用います。

①酸素の価格(円)= 単価 × 使用量 × 補正率1.3 (小数点以下は四捨五入)

②酸素加算(点) = 酸素の価格(円) ÷ 10 (小数点以下は四捨五入

例)酸素吸入で定置式液化酸素貯槽を180L使用した場合

酸素吸入(65点)

酸素加算

0.19円 × 180L × 1.3 = 44.46 → 四捨五入 → 45円

45円 ÷ 10 = 4.5 → 四捨五入 → 酸素加算(5点)

処置料(技術料)

処置料は大きく10項目にわかれています。

1.一般処置、2.救急処置、3.皮膚科処置、4.泌尿器科処置、5.産婦人科処置

6.眼科処置、7.耳鼻咽喉科処置、8.整形外科的処置、9.栄養処置、10.ギプス

それぞれの項目の中にも多くの処置料が定められていますが、個別の算定方法については別ページで解説していきます。

全体のルール

処置を算定する前に、大事なルールについてみていきましょう。

処置料全体にかかるルールとなります。

①特に記載のない場合は1回につきで算定する

処置名の後ろに何も記載がない場合は「1回につき」で算定します。

「1日につき」の場合は、1日に何回行っても1回の算定です。

1日とは0時から24時までのことで、日付が変われば2回の算定になります。

②簡単な処置は算定できない

浣腸、注腸、吸入、洗眼、点眼、点耳、鼻洗浄などの簡単な処置は基本診療料に含まれるため算定できません。

※これらの処置を行った場合は、外来管理加算を算定することができます。

③外来診療料算定時には算定できない項目がある

200床以上の病院の再診時に、次の処置を行った場合はその処置料は算定できません。(表中の塗りつぶし部分)

創傷処置(500㎠未満)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、皮膚科軟膏処置(100㎠以上500㎠未満)、膀胱洗浄、後部尿道洗浄(ウルツマン)、膣洗浄、眼処置、義眼処置、睫毛抜去、耳処置、耳管処置、鼻処置、口腔・咽頭処置、間接喉頭鏡下喉頭処置、ネブライザー、超音波ネブライザー、介達牽引、矯正固定、変形機械矯正術、消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射、肛門処置

これらの点数は外来診療料に含まれることになります。

初診時に行った場合は算定できます。

④薬剤は合算する

処置に使用した薬剤は全て合算します。

例)A処置にB薬剤、C薬剤を使用 → B薬剤とC薬剤の薬価を足してから点数に換える。

⑤片側の記載のあるものには注意

項目名のあとに(片側)の記載のあるものについては、片方のみの点数となります。

ですので両側に行った場合は左右それぞれ別に算定します。

例)関節穿刺(片側)120点 → 関節穿刺(右)120点、関節穿刺(左)120点

⑥異なる部位に同じ処置を行った場合

処置の項目のなかには処置する範囲により点数が異なるものがあります。

たとえば創傷処置や熱傷処置などです。

同時に複数の部位にたいして同じ処置を行った場合は、それぞれの処置範囲を合わせて考慮します。

・左前腕にA処置、右前腕にA処置 → 同じA処置のため、範囲を合わせて算定

・左前腕にA処置、右前腕にB処置 → 違う処置なので、それぞれ個別に算定

⑦手術当日に、手術に関連して行った処置は算定できない

手術の当日に、その手術に関連する処置は術前、術後を問わず算定できません。

例)手術後の傷に対して創傷処置を行った場合

→ 手術に関連している傷のため、創傷処置は算定できません。

例)腹部の手術中に左腕に創傷処置を行った場合

→ 腹部の手術と左腕は関係ないため創傷処置が算定できます。

ただし、ギプスに関しては、手術当日でも算定できます。

⑧処置料が算定できない場合は外来管理加算が算定できる

外来管理加算とは、200床未満の医療機関における再診時の診療内容によって加算できる項目です。

処置は対象ではないため、外来管理加算を算定することはできません。

しかし、次のような場合には、実際に処置は行っていても点数がとれないため、処置を行ったとはみなされず外来管理加算を算定することができます。

例)再診時(診療所)に皮膚科軟膏処置(100㎠未満)を実施

→ 皮膚科軟膏処置(100㎠未満) 0点 

例)再診時(50床)に消炎鎮痛等処置(湿布処置)を実施

→ 消炎鎮痛等処置(湿布処置) 0点 ・・・湿布処置は診療所のみ算定可

全体にかかる加算

処置料全体にかかる加算で、通則の加算と呼ばれます。

処置料のみの加算ですので、薬剤料、 特定保険材料料、処置医療機器等加算に加算することはできません。

時間外等加算

時間外、休日、深夜の時間帯に緊急で処置が行われた場合に、所定点数(技術料)に加算します。

時間外等加算の考え方は初診料、再診料と同じですが、所定点数とは注の加算を含んだものが所定点数となります。

所定点数 = 各項目の所定点数 + 注の加算

時間外等加算1【届出】

医師などの負担を軽減する取り組みや、体制を整えている医療機関において算定できます。

所定点数が1,000点以上の場合のみ加算できます。

時間外加算1(略号:外)所定点数×1.8
休日加算1(略号:休)所定点数×2.6
深夜加算1(略号:深)所定点数×2.6

ここでは詳しく説明しませんが、問題文などに届け出が記載されている場合は考慮してください。

時間外等加算2

所定点数が150点以上の場合のみ加算できます。

時間外加算2(略号:外)所定点数×1.4
休日加算2(略号:休)所定点数×1.8
深夜加算2(略号:深)所定点数×1.8

時間外に熱傷処置を行った場合で考えてみましょう。

・熱傷処置(100㎠以上500㎠未満)(147点)の場合

 147点のみ ・・・ 150点以上ではないため加算はできません。

・熱傷処置(500㎠以上3,000㎠未満)(270点)の場合

 270点 × 1.4 = 378点 ・・・ 150点以上のため時間外等加算×1.4をします。

年齢加算(注の加算)

処置料の項目には注の加算として次の2つの年齢加算があります。

新生児(略号:新)

生後28日未満の新生児が対象です。

乳幼児(略号:乳幼)

6歳未満の乳幼児が対象です。

まとめ

処置料は、 薬剤料、特定保険材料料、処置医療機器等加算、処置料(時間外等加算、年齢加算)から構成されます。

算定自体は難しくありませんが、時間外等加算や酸素加算など、条件によっては加算ができる場合もありますのでルールをよく理解しておくことが大切です。

また、200床以上の再診では処置料を算定できない項目もありますので、カルテの内容には注意をしましょう。

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