令和4年度の改定で、「下肢創傷処置」が新設されました。
今回は「下肢創傷処置」の算定方法と、レセプトへの記入のしかたをみていきます。
下肢とは?
下肢とは、大腿と下腿を合わせた部分のことをいいます。

「下肢創傷処置」の名前からすると、この部分の傷に対して処置すれば算定するのかと思うかもしれませんが、実はここではありません。
下肢創傷処置は「足部」の傷に対して算定する
「足部」とは、くるぶしより下の部分のことをいいます。

この部分に対して処置した場合に「下肢創傷処置」を算定します。
また、場所や傷の深さによって点数は3つに分かれています。
1.足部(踵をのぞく)の浅い潰瘍
2.足趾の深い潰瘍、または踵部の浅い潰瘍
3.足部(踵をのぞく)の深い潰瘍、踵部の深い潰瘍
潰瘍とは、粘膜下組織までに至った傷のことで、「浅い」「深い」は次のように判断します。
「浅い」・・・腱、筋、骨、関節のいずれにも至らないもの
「深い」・・・腱、筋、骨、関節のいずれにも至るもの
算定の注意点
・下肢創傷処置を算定する場合、「創傷処置」、「爪甲除去(麻酔を要しないもの)」、「穿刺排膿後薬液注入」は併せて算定できません。
・複数の下肢創傷がある場合は、主たるもののみ算定します。
下肢創傷処置管理料
下肢創傷処置を算定した月に1回に限り算定できます。
下肢創傷処置管理料 ・・・ 500点
算定条件は、下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師が計画的な医学管理を継続しておこない、療養上必要な指導を行った場合に算定できます。
カルテ例とレセプト記入

左踵に創傷処置を行っているので、創傷処置ではなく、「下肢創傷処置」で算定します。
下肢創傷処置 踵の浅い潰瘍 ・・・ 147点
イソジン液、ゲンタシン軟膏 ・・・ 2点
レセプトは次のようになります。

項目の区分も記入します。
下肢創傷処置管理料が算定できる場合は次のようになります。

まとめ
今回の改定で下肢創傷処置が新設されました。
下肢とありますが、足部の創傷に対しての算定になります。
下肢創傷処置には施設基準はなく、下肢創傷の部位や深さが該当すれば、入院(DPC請求病院以外)や外来でも算定できます。
また、下肢創傷処置管理料は、5年以上診療に従事した経験を持った、常勤医師1名以上の勤務があれば算定できます。
詳しくは点数表などで確認しておきましょう。