熱傷処置は、火傷や凍傷、薬傷、電撃傷に対して薬をぬったり、ガーゼなどで患部を被覆した場合に算定できる処置の項目です。
ここでは熱傷処置の算定方法や注意点、レセプトへの記入のしかたについて解説しています。
熱傷処置(1回につき)
熱傷処置は、処置する範囲により5段階に区分されています。
100㎠未満 | 135 | 外来のみ 熱傷1度は算定不可 手術後は入院でも14日以内は算定可 |
100㎠以上500㎠未満 | 147 | |
500㎠以上3,000㎠未満 | 270 | |
3,000㎠以上6,000㎠未満 | 504 | 6歳未満は+55 |
6,000㎠以上 | 1,500 | 6歳未満は+55 |
範囲とは患部の広さではなく処置した広さになります。
範囲が広くなるほど点数は高くなります。
また、算定の単位は1回につきです。
午前中に1回、午後に1回行った場合、その日は2回算定できます。
3,000㎠以上は、6歳未満の加算ができます。
算定の注意点
算定の注意点についてみていきましょう。
100㎠未満は外来のみ。熱傷1度は算定できない
100㎠未満は外来の患者さんのみ算定することができます。
また、熱傷1度の患者さんに対しては算定することはできません。
熱傷とは火傷の程度を表し、1度、2度、3度と上がっていくほど重くなります。
手術後は、100㎠未満でも入院中であれば14日以内は算定できる
手術後の入院患者においては100㎠未満でも14日以内であれば算定できます。
処置に使用した薬剤は全て合算する
熱傷処置で使用した薬剤は全て合算してから点数にします。
例)熱傷処置 A消毒液、Bクリーム → A消毒液の薬価とBクリームの薬価を足してから点数にする。
異なる部位に同じ処置を行った場合は範囲を合わせる
異なる部位に対して熱傷処置を行った場合は、それぞれの範囲を合わせます。
例)腕(50㎠)と足(70㎠)に熱傷処置を行った → 熱傷処置120㎠で算定
手術当日に、手術に関連して行った処置は算定できない
手術当日に、手術に関連して行う処置は、術前、術後を問わず算定できません。
例)火傷に対する手術の後に熱傷処置を行った → 手術に関連するため熱傷処置は算定不可
2か月超えたら創傷処置で算定する
熱傷処置は、初回に処置を行った日から2ヶ月を超えた場合は創傷処置として算定します。
例)6/3日 熱傷処置(初回) → 8/2までは熱傷処置。8/3からは創傷処置
全体にかかる加算
時間外等加算2
所定点数が150点以上の場合のみ加算できます。(所定点数には注の加算を含みます。)
時間外加算2 | (略号:外) | 所定点数×1.4 |
休日加算2 | (略号:休) | 所定点数×1.8 |
深夜加算2 | (略号:深) | 所定点数×1.8 |
500㎠以上の熱傷処置は150点を超えるため、上記の時間帯に行った場合は加算できます。
例)休日に熱傷処置(500㎠以上3,000㎠未満)を行った
→ 270点 × 1.8 = 486点
また、小数点以下が出たときは四捨五入します。
例)時間外に熱傷処置(3000㎠以上6000㎠未満)を行った
→ 504点 × 1.4 = 705.6(四捨五入) → 706点
カルテ例
熱傷処置をカルテの例でみてみましょう。

熱傷1度は算定できませんが、2度なので、熱傷処置100㎠未満を算定します。
熱傷処置(100㎠未満) → 135点
処置に使用した薬剤は、合算して計算します。
クロロマイセチン軟膏2% 1g 11.4円 × 2g = 22.8円
ソフラチュール貼付剤10cm×10cm 1枚 56.7円 × 1枚 = 56.7円
22.8円 + 56.7円 = 79.5円 ÷ 10 = 7.95(五捨五超入) → 8点
レセプトは次のようになります。

熱傷処置は、処置名の後に部位と、処置を行った初回の月日を記入します。
時間外などの加算をした場合は、処置名の後ろに略号を記入します。