医学管理とは、医師が注射や手術などの医療技術の提供とは別に、患者さんに対して療養上の指導や医学的な管理、情報提供を行った場合に算定される項目です。
基本的に対面での指導や管理を評価したものですので、電話での指導については算定できません。
多くの項目が定められていますが、主なものには次のようなものがあります。
主な医学管理
特定疾患療養管理料
糖尿病や高血圧症など、厚生労働大臣が定める特定の疾患を主病とする患者さんに対して、日常生活(食事や運動、睡眠など)の中で必要な療養上の指導を行った場合に算定できる項目です。
多くの特定疾患が定められており、実務においても算定する機会の多い項目です。
また、算定できる病床数は200床未満と決まっており、病床数によって点数が異なります。
特定薬剤治療管理料
副作用などの注意が特に必要な薬剤を投与されている患者さんについて、その血中濃度を測定し、投与量の管理や、必要な指導を行った場合に算定できる項目です。
対象疾患に対する対象薬剤が定められています。
悪性腫瘍特異物質治療管理料
悪性腫瘍とは癌のことです。癌の診断が確定した患者さんについて、「腫瘍マーカー」という検査を行い、その結果にもとづいて計画的な治療管理を行った場合に算定できる項目です。
皮膚科特定疾患指導管理料
厚生労働大臣が定める特定の皮膚疾患の患者さんに対して、皮膚科、皮膚泌尿器科の医師が、療養上の管理を行った場合に算定できる項目です。
対象の皮膚疾患により、点数は2つに区分されています。
乳幼児育児栄養指導料
小児科の医師が、3歳未満の乳幼児に対して、栄養やその他療養上必要な指導を行った場合に算定できる項目です。
初診料算定日に行った場合のみ算定できます。
診療情報提供料
他の医療機関に患者さんの診療情報を提供する場合や、処方した薬について情報提供した場合に算定できる項目です。
診療情報提供料(Ⅰ)
医師が他の医療機関に紹介状を作成する場合に算定します。
診療情報提供料(Ⅱ)
患者さんが他の医療機関の医師に対して意見(セカンドオピニオン)を要望したときに、検査結果や診療状況などの必要な情報を添付した紹介状を提供した場合に算定します。
薬剤情報提供料
医師が処方した薬について、その名称や効能効果、副作用などに関する情報を文書で患者さんに伝えた場合に算定できる項目です。
患者さんの希望により、処方した薬の名称を手帳に記載した場合には加算ができます。
同月に複数の医学管理を行った場合は注意!
同じ月に複数の医学管理を行うこともあります。
こういった場合は、両方の医学管理を算定する場合と、どちらか一方のみを算定する場合があります。
下の表は、同月に重複算定できない主な医学管理です。
「×」印がついているところは、どちらか一方しか算定できません。
その場合は、主たる項目(点数の高い方)を算定します。
例1)同月、「特定疾患療養管理料」と「悪性腫瘍特異物質治療管理料」を行った場合 → 「×」なし → どちらも算定
例2)同月、「特定疾患療養管理料」と「皮膚科特定疾患指導管理料」を行った場合 → 「×」あり → 点数の高い方のみ算定
また、特定疾患療養管理料や、皮膚科特定疾患指導管理料などは、在宅療養指導管理料の一部の項目とは同月、重複算定できません。
この場合は、在宅療養指導管理料の方を算定します。
まとめ
医学管理とは、患者さんに対して療養上の指導や医学的な管理、情報提供を行った場合に算定される項目です。
医学管理には、さまざまな項目があります。
複数の疾患をもっている患者さんの場合では、色々な医学管理を受けることもあります。
カルテに記載されている傷病名や内容から、どの医学管理を行っているのか読み解いていきましょう。